そのさん

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流れる、汗。時折漏れる苦しげな吐息。 ああ、苦しい…。 ……………何故? 倉竹はうっすらと眼を開けた。ひたすら寝苦しい、その原因を突き止め安眠しなければ俺の明日は 「無い!!!!!!!」 一気に先程迄を超越する程の汗がふきだす。ばっちり目ェ覚めた。 「お、……お前、ちょ、梅なんでいやこれ無いって絵的に!!」 いや、ありうるのか?別に。 「犬だし。うん。………いやいやいや無いだろ無いだろ!!無いだろ!!あるかもしれないけど!!ん!?アレ!?どっち?さあどっち!?」 人間の姿じゃないだけまだましだった。 男の首に巻きつく、つーか絡み付くわんちゃん。 「……複雑だなあ。……いや複雑じゃねぇよ。梅、おきろ、朝だぞー。昼に近い朝だぞー」 どうせこれから毎日隣で寝なければならないのだ。さすがに人の姿ではヤバイので寝るときだけ犬になってもらうがもう慣れるしかないよねこれ。 倉竹は(良い意味でも悪い意味でも)ポジティブな奴だった。
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