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雰囲気として妖艶である。それは顔の造りが恐ろしい程整い、また恐ろしい程中性的でことも一因だろうが、普段の表情の不機嫌さから笑み(とは言っても純粋な笑みではなく裏があるような一筋縄でない笑いだったが)に至るまでの美しさが、そして艶やかな長く黒い髪が妖艶さに拍車をかけているのだろう。重ね着した着流しや高くも低くもない声からやはり性別は判断出来ない。
「ええ、と」
梅は理解しようとした。
「どうしてわたしのことを?」
「この人に通じない情報は存在しないんだよ」
店長でなく倉竹が呆れ声で答えた。
「まァそういうこったなァ。お前ェを追ってるアイツらァ、いい金づるなんだ」
「金づるなんだ……」
「資金力も軍事力も組織力もあんのに阿呆だからなァ」
「ぶっちゃけ過ぎ!?確かにねこ耳だけど。…うっ……思い出した…」
「クク、ありゃ傑作だァな」
身を震わせる店長。
「それもあるが………アイツらがコイツを追う理由が判っかァ?」
「――――判りません」
倉竹は少しだけ、目を見開いた。店長は倉竹を真っ直ぐ見、告げる。
「世界征服、だとよ」
固まる空気。
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