11人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいね、続きぅあ!?」
どん、と派手な音を立てて倉竹にぶつかり、そして、
「……………っ!」
「あー」
何も言わずに駆けていく者がいた。大きさからして子供だと思われる。
一瞬呆然としていた倉竹は次の瞬間弾かれたように懐を探り、猛然と追いかけ始めた。すぐさま梅も続く。
「なにっ、何ですか!?」
「スリ」
「わ、凄い!大胆!」
とか逆に感心してる梅はむしろ気楽な顔で、全力ダッシュの倉竹を抜くか抜かないかの所を走っている。それを数秒見て、倉竹は『成程』という顔をした。
「梅」
「はい!」
「アレ、先に行って捕まえてくんない?」
「イェッサァー!!」
どぴゅーーん!
「うわあ……反則だあ」
速いって。
それから十数歩行かない内に少女が子供を拉致ってきた。
*
投げて、落ちてきたところをとる。
空中に飛んでは落ちる財布は倉竹のもので、投げているのも倉竹である。
「………まーあ、そんな感じで、返してもらいましたけれどもね…。なんで?」
「………………」
「あーーー。違う違う、理由じゃなくて。何故俺らを狙ったのか?ってことね」
「………………」
「………………」
最初のコメントを投稿しよう!