そのいち

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男は頭を抱えていた。 「――――つまり、お前はどっかの山奥に隔離されてた民族の生き残りで」 「そうそう」 「その民族ってのが犬と人間が同化した戦闘に長ける奴らで」 「うんうん」 「思考は人間と全く同じだから喋れると」 「その通り!さっすが御主人様!」 「……信じられるかぁァーーーーーーーッ!!!」 男は空中ちゃぶ台をひっくり返した。 「これは夢だ。ドゥリームだよ。俺まだ寝呆けてるっぽいこれ。うん、よし、もうひと眠り」 「御主人様寝るんですか?んじゃわたしも」 「やめぇぇい!!」 隣に丸まろうとした犬から飛びすざった。ここ数年なかった激しいリアクションをとっているせいか心もち着物が乱れている。 「大体、だな、なんでその山奥に住んでる奴がこんなとこに居るんだ」 「逃げてきたんです」 「……逃げて?」 「うん。さっき言ったでしょ?戦闘に長ける民族って。なーんか我がものにして悪いことしちゃおって人多いんですよね。ホント参っちゃうな。戦うの、嫌いなんです。………お腹すくから」 「理由それ!?じゃなくて、…ああなんかもうツッコみ処が多すぎて無理。俺には無理」 再度頭を抱える男を犬は首をかしげつつ見、 「わたしが犬と人間の間ってこと、見たら信じられますか?」
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