第1章 始まりの剣

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目が覚める。 眩い朝日を見てまた目を閉じる。 遠くで聞こえる鳥の囀り それに微かに雑ざる、人の動く音。 僕は耳がいいからどんな音でも聞き分けられる。集中すれば蟻の足音だって聞こえるかもしれない。多分。 女の子だ。足音に重みが無い。 彼女は剣を携えている。ただの剣じゃない。 それは、遥か遠くの東の国から渡ってきた草薙剣という剣だとか。 これは聞き分けた訳じゃなく、彼女から直接聞いたことだけど。 僕は色々な事を考えているうちにようやく朝日の眩しさに慣れ、目を開け起き上がる。 着替えるために鏡の前に立つ。 今年で確か17歳になる僕は歳の割にすっごく身長が高くて、華奢で弱そうだ。 そして、年相応とは思えない、隊長服を身に付ける。 それでもやはり華奢でなんだか頼りない。 寝癖のついた、薄く紫がかった髪を少し抑え、鏡を見てボタンの掛け間違いがないか、裏表正しいか等を確認してからそのまま洗面所に向かい、顔を洗い歯磨きをして家を出た。 家を出てすぐの大きな森の中に彼女はいた。
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