エピローグ

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「ん…」  少女の目の奥が、急に明るくなった。足元が、少しくすぐったい。春の陽気も感じる。それらの違和感を知るために、恐る恐るその目を開けた。その視線の先には、延々と広がる花畑が、生命の息吹が太陽に照らされていた。 「どうやら目が覚めたようですね」    少女は声がした後ろへと視線を移す。その瞬間少女は、ため息をついていた。目の前に美しい、まるで輝いているような、そんな美貌を持つ女性がいた。    少女の視線に気が付いた女性は、明るい笑みを浮かべ  「どうですか?初めて地面に立った気分は」  と尋ねた。  その言葉で少女は自分が、地に足を付け立っていることを知った。そう知ると、気分がはじけるように高揚した。そんなどうしようもない気持ちを抑えながら、少女は答える。 「なんか、不思議というかなんというか、言葉で言い表せないような感じです」 「そうですか、でも足元には気をつけてくださいね。彼女をふんでしまいますから」  彼女?そう疑問に思った少女は、足元に視線を移す。足元には猫がいた。少女が抱いていた子猫だ。きょとんと不思議そうに、少女を見ている。 「あなたは、彼女ともう一度人生を歩んでみませんか」 しばらく猫を見つめていると、女性が突然そういった。    「え…」    「私は、生まれた時から人の運命を、すべてを変えることができる能力を。それを使ってあなたとその子猫を、現世に蘇らせることができます。どうしますか」  
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