未界

ミーマークの生い立ち

「私はミーマークだ。今日から皆さんの授業を担当することになった。無愛想に見える だろうが、中身は熱いぞ！はっはっはっ！で も、人間何かしらに熱くなる瞬間は持たなき ゃいかん。どうだ？君たちの夢やこれからの 未来への思いを聞かせてくれないか？」
「博士のように、頭の柔らかい学者になりたいです！」
「おぅ、そうか、柔らかすぎると溶けてし まうぞ！なんてな。あぁ、しまった！はずしたか。」
ミーマークは講義の中では、いつもこんな調子で､とても気さくな紳士・・・。そう、 頭脳明快でありながらにしてごく普通の面白 いおじさんとでも言おうか。学内でも人気の 高い人物だ。 ミーマークの両親が出生直後から行方不明 と、彼自身には伝えられてきたようだが、実は彼には生まれた瞬間から、両親などいないのだ。 そんな環境はいかんせん、彼は豊かな経験と確かな技術力、そしてゆるぎない探究心と あくことのない性分。優秀な細胞を一手に持ち合わせたごくまれな科学者だと言える。 彼は孤児院で育てられたが、とても優秀だ ったので、１０歳で高校と同レベルの勉学を受けていた。 彼はすべての教科そろって成績優秀なだけでなくスポーツも万能でクラスの中でも中心人物だった。 彼の饒舌な話はすべてのものを魅了し、い つも彼の周りには人があふれていた。 優秀な頭脳から生み出される語録はとても 機知に富み、子供の頃から“おもしろいや つ”と思われていたようだ。とはいえそんな 彼も､高校入学以来当初はやはり勉学のレベ ルは同じでこそあれ、生きてきている年数の差 身長・体格の違いなどを気にして一時は通学を怠っていた。 彼が高校を休みがちになっていたある日の こと、化学の教師が
「今日の授業ではとても興味深く楽しい話 をするから来いよ。」
と何度も宿舎に来たり電話やメールでしつこく言って来た。彼は気が進まなかったがあま りにも熱意に満ちていたので講義に出席して みることにしたのだ。