序章

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「いいのですか?ハザード様」 「ヒャハハハハ!かまわねぇよ。時間は永遠に近い」 白髪の優男がハザードに問いに欠けるが、ハザードは顔をみることなく答える ハザード一味と荊の一味が消えた荒野に先ほどまで高みの見物を決め込んでいた朔埜が降り立つ 「さて…いい感じだね~」 「…朔埜、貴様一体何を考えている?」 つぶやく朔埜にアルベールが問いかける 「まぁまぁ…ちょっとした実験をね」 「実験…?また新たな禁術か?」 アルベールは鋭い視線を向ける 朔埜は何度も実験と称して新たな魔法や術式を試していた そのつど、その地域を著しく破壊することも多かった ハザードの無差別な破壊や荊の略奪とは違う 朔埜の”実験”は予測できない副作用が発生する 恐ろしい新種の魔物であったり植物 大地の死滅など… アルベールは考えるだけで身震いを覚える 「そう睨まないでよ、ボクも遊んでるだけなんだからさ~」 それが性質がわるいのだ…とアルベールは思ったが口には出さなかった 出せば一瞬でこの世から消される可能性もある 天変地異の者たちは天駆ノ雷を除いて皆気まぐれである この朔埜もハザードも荊も気分で動くことが多い ハザードのことは詳しくは知らないが、この朔埜と荊は商売柄いくらかの付き合いがあったからだ 髪型が気に入らないと消された荊の部下を知っている 紅茶がまずかったと朔埜に消された街もあった 理不尽 だがそれが許される ただ力がもっているだけで 魔族である自分が思うのもおかしな話だが、この世には神も仏もない
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