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「おっおえぇっ。ハァッハァ」
(くそ。やっぱこの体は悠のなのか俺の体と違って動かねぇ。あいつ体弱いんだっけ。)
よろよろと壁にすがりながら
悠の人格が入っているはずの自分の名前が書いてある病室を探した。
だが、まだ5歳。自分の漢字がわかるはずもなく雄李は悠の体を無理矢理動かしてひとつづつ病室をみてまわった。
「どこだよ‥悠。」
ガラガラ。
諦めようとした雄李に自分の体がベットの上に転がっているのを見つけた。
(悠っ!!)
転がっている雄李の姿の悠はたくさんの器具が付けられていた。
その横には本来自分の母であるはずの杏理がぼろぼろと泣きくずれていた。
「雄李ぃ。うぐっ死んでないよね?母ちゃんを残していかんでや?ぐすっ。」
そこへ医者がやってきた。
「お母さん。雄李ちゃんは‥いや悠君は何年か目を覚まさないでしょう‥。」
ぽたぽたと布団に涙を流す母、杏理(あんり)は驚いた。
「え?悠‥君?」
悠の姿に入っている雄李はやっぱり中身がいれかわった?と改めて思いヨロヨロの体をひざからガクンっと落とした。悠の脳みそのせいでなんだか頭は冴えていた。
第ニ球目 完
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