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このまま歩いていればもうすぐ境界線にぶち当たる……
それを理由にして加藤の所まで引き返すか…?
「?」
そこで不意に岸本の足が止まり、それにつられて玄野の足も止まる。
「どうした?」
「何かこっちをジッと見てる感じの人が居るから…
こんな格好だし…
ちょっとあの人の前、通りたくないなぁって思って…」
その言葉に玄野は岸本が視線を向ける方向へと目を凝らした。
「っ!?」
見られてる…
確かに視線の先にいる人物はこちらの様子を伺っていた。
こんなコスプレの様な格好をしていたら
注目を集めるのは当たり前だが…
それは今は決してありえない事……
一般人に俺達の姿は見えないはずなのだ
つまり、視線の先の人物は一般人ではないという事を意味している……
「キャッ!?」
そこから導き出される答えを認識する前に身体が勝手に動いていた。
「ちょっ、ちょっと玄野クン!?」
玄野は岸本をお姫様抱っこの形で抱き抱えると
その脚に力を込めて一気に走り出す。
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