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「ネギ……アゲマ…ス…
ユッ……ルッシテ…クダ…サイ……」
そんな言葉が聞こえてきた。
玄野は身構えるとゆっくりと崩れた塀へと近づいて行く。
そして、あと5メートル程に迫った時だった。
ガラガラと音をたてながら瓦礫を押し退け、その巨体が姿を表す。
おそらく呼吸器系にダメージを負ったのだろう
ヒュー、ヒューと荒い呼吸を繰り返し
口や鼻からは夥しい血液を流していた。
玄野は立ち止まると
咳き込む度に吐血を繰り返し
倒れ込みながらも震える手足でゆっくりと這いずるように近寄ってくるネギ星人を見据える……
「ゴボッ!……ネギ…ゴホッ!……アゲマ…ス…
ユル……ッ…ゴホッゴホッ!………シテ…クダサ…………」
何分くらいそうしていただろうか…
体感的には長くても実際には5、6分といった所だろう……
ネギ星人は、残り1メートル辺りに迫った所で力無く地面へと身を預けていたが…
その言葉を最後に動かなくなった……
「こいつらも生き残るために戦ってるんだよな……」
真理の部屋で知った事を思い出すと
そう言葉が口から漏れた…
だけど、俺達は負けるわけにはいかない
負けられない
そう……
もう二度と大切な人を失わない為に
あのカタストロフィに勝利しなくてはならないのだ
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