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ぼんやりとした意識の中、虚空をうつした瞳が目の前に広がる光景を見据える。
その瞳には、恐怖、憎悪、狂気、絶望 といった様々な感情が渦巻いていた。
ここは…あのマンションか……?
俺は一体……
俺は確か真理の部屋で死んだはずじゃ……
玄野はゆっくりと手を握り締めると、その感触を確かめる。
「……再生…したのか…?」
生を実感したと同時に
段々と意識が覚醒し、その瞳に僅かばかりだが光が宿った。
「ハァ…ハァ…何かしんねーど
な?助かったろ…?」
そして、何気なく呟いた言葉に対してだろう
隣から息を荒げた状態で返事が返ってきた。
その声はよく知っている者の声。
先ほどまで共に戦っていた仲間であり親友の声だった。
「加藤っ!?」
「ハァ…ハァ…?
そんな…大声出さなくても…聞こえてるって……
つーか、あれだけ走って…ゲホッ…息が上がってないって…すげーな計ちゃん……」
助かったろ…?
息が上がってない…?
加藤の奴、何を言って……!?
おい……
待てよ……
この状況どこかで……
それに良く回りを見渡してみれば見覚えのある奴等が……
「嘘だろ…」
ドクン…
ドクン…ドクン…
ドクン…ドクン…ドクン…
鼓動が早鐘の様になり響き、肺が酸素を欲し呼吸が荒くなる。
まさか…
いや、でもこれは…
俺の日常の全てが変わった あの日の…
加藤と一緒に電車に跳ねられた直後の…
ガンツに最初に転送された直後の状況じゃねーか…
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