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加藤とそんな会話をしていると
岸本が小さく身動ぎをした。
「けい…ちゃん……?」
どうやらだいぶ意識が覚醒してきたらしい。
「あぁ、玄野 計
俺の名前だよ」
「玄野 計……」
彼女がそう呟いた時だった。
[あーた~~らし~~い あ~さがきた]
部屋の中央に置かれた黒い球体……
ガンツから、あの忌々しラジオ体操の歌が流れだし部屋中へと鳴り響いた。
きた……
皆がガンツへと注目し、球体から現れた銃器に目を奪われるなか
玄野は岸本を加藤へと託すと一人アタッシュケースへと手を伸ばす。
その中には見慣れた漆黒のスーツが入っていた。
そして、自分のスーツと加藤と岸本のアタッシュケースを手に取ると
困惑した様子で視線を動かしている二人へと差し出す。
「コスプレみたいだけど……
その格好よりましだと思うから着てきたらどうだ?」
まずはそう口にしながら岸本へとスーツの着用を促した。
岸本は一瞬の躊躇の後、アタッシュケースを受け取り廊下へと消えていく。
「やっぱりスゲーよ計ちゃん…」
「?」
「こんなワケわかんねー状況なのに冷静でさ
おまけに、あの娘の事までちゃんと気を配ってあげててさ……」
次に加藤が差し出されたアタッシュケースを受けとり
「そんなことねーよ
俺だって戸惑ってるし……
あの格好じゃ可哀想だと思ったのも事実だけど…
このスーツだって、あの不思議な球体から出てきたから何か意味のある物なんじゃねーかって思って持ってきただけだし……」
「なるほど…
でもよぉ…」
中に入っているスーツを広げるとそのデザインに思わず顔をしかめるが
「こんなピチピチのスーツを着ろってーのか…?」
「お前も付き合えよ…
彼女だけに恥ずかしい格好をさせらんねーだろ…?」
最終的には、その言葉に渋々といった様子で溜め息をつきながら頷いてくれた。
「じゃぁ、俺はあっちの部屋で着替えてくるから
加藤は彼女が帰ってきたら廊下で着替えてきてくれ」
玄野はそう言い残すと奥の部屋へと向かって足を運ばせた。
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