第1章

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 颯(語り):(人類は機巧のシステムを解析し、それとほぼ同じ性能を持つ機体の開発に成功した。人類が新たに生み出した兵器により、形勢はある程度回復し、こうして日常生活を送れるまでになった)  倒される敵機巧。吠える人間側の機巧。  颯、『東京機巧研本部』の前に立つ。  颯(語り):(そして人類存続の要こそ、この『東京機巧研本部』だ)  厳重な警備。守衛にカードを見せ、中へ。  颯(語り):(現在使用可能な機巧は四機。うち実働可能なのは三機。そしてこの『東京機巧研本部』は、その一つを所有している)  機巧の操縦席の映像。  颯(語り):(機巧の操縦は二人で行う。一人は機巧の主操縦を行うパイロット。そして、それをサポートする補助役。俺はその補佐を担当している。そして、今日紹介される俺の相棒というのが、機巧の操縦者になるわけだ)  颯「面倒くさいな……」   ○本部内、磯原の部屋の前。  颯、ノックをする。中から磯原の返事が返ってくる。  颯「失礼します」 ○磯原の部屋  高級そうなデスクに座る磯原、その後ろに立つ、仏頂面の結弦。  颯、一礼する。  磯原「よく来てくれたね、佐神君。学校帰りに申し訳ない」  颯「いえ、別に」  磯原「早速だが、紹介しよう。これから君が補佐を務めることになるパイロット、御堂結弦君だ」  颯、目の前の結弦を見て眉をしかめる。  機嫌が悪そうに見える結弦。  颯「どうも」  結弦、颯の言葉に、少し目を動かすだけで反応を示さない。  沈黙の降りる部屋。磯原が席を立つ。  磯原「じゃ、じゃあ、後は若い者どうしで」  颯「お見合いじゃないんですから」  磯原、部屋を出る。残された颯は、なんとか交流を図ろうとする。  颯「あ、あのさ……」  結弦「何?」  剣のある声。颯、口をつぐむ。  ため息をつく結弦。  結弦「用が無いんなら帰っていい?」  颯「おい、ちょっと待てよ」  颯が掴みかけた腕を、結弦は振り払う。睨みつける結弦。  結弦「先に言っておくけど、私はあなたの手なんか借りるつもりはないから」  颯「なんだと? 機巧は二人そろって初めて力を発揮するものだろ?」  結弦「私は特別なの。あなたとは違う」  互いににらみ合う颯と結弦。
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