第1章

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「なんでよりによって、こんな日に!!」 これが八つ当たりだというのは自覚してる。でも、真冬の結婚式というだけでも大変なのに、よりによって記録的な大雪が降るなんて! 2013年12月10日。今日は高校からの親友田中 あゆみの結婚式。正確にはすでに入籍してるから、「田中」じゃなくて「内田」だけど。 平凡すぎる名字にコンプレックスを抱き続けた学生時代には、「絶対平凡な名字の人とは結婚しない!」と言い張ってたけど、恋愛はいつも思惑外で。結局代わり映えしない名字の人とゴールインをした。 ちなみに私の名前は田村 香。あゆみと似たり寄ったりの平凡さである。 学生時代は田中と田村で出席番号が続いてたこともあり、それがきっかけで話をするようになった。 お互い女性らしい...とは言い難い竹を割ったような性格で、言いたいことを言い合える気楽な存在。 だけど、私が初めての彼氏に振られてしまったときには、なにも言わずずっと一緒にいてくれた。言葉はなかったけど、あゆみがそばにいてくれるって思うと、なんとなく大丈夫って気がした。 それから、私たちはずっと親友だ。 そんなあゆみが、とうとう結婚する...。もちろんあゆみが幸せになるのは嬉しい。だけど、ほんのちょっと。ほんのちょっぴりだけ、さみしく感じてしまうのは...あゆみのお腹にはすでに新しい命が宿っていて、きっと独身時代のように二人で飲みに行ったり、旅行に行ったりはできなくなるから。 「あたしも、結婚しようかなぁ...」
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