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「きゃあっ!」
突然雷が鳴り響いて、雨が降り始めた。
「もう、やだっ!」
天気予報は、雨が降るなんて言わなかった。
空にまで見放されたような気がして、さらに落ち込む。
傘なんか持っていないから、急いで木の下に避難しようと走り始めた。
が、道端に落ちていた棒に足を取られて、派手に転んでしまった。
「ははっ」
もう、笑うしかない。
今日は初めて恭平と朝まで過ごそうって、決めてきたのに。
こんなところで泥だらけになって、雨に打たれる自分なんて想像していなかった。
一人で盛り上がって、バカみたい。
先ほど足を取られた棒が、視界の端に映る。
「こんなものっ」
八つ当たりだった。
衝動だった。
私はそれを、地面に向かって投げつけた。
その瞬間、私は雷に打たれ、意識を失った。
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