第1話

1. 最悪の一日

私の彼氏だけど、今更ながら、かっこいい。

ほら、彼女の欲目とかじゃなくて。

あの子も、あの子も振り返る。

初めてホテルに行ったときも、恭平とならって思ったの。

だけど、私が初めてだって気づいた恭平は、頭をくしゃっとして、「大事にしたい」って言ってくれて。

それからは触れてこなかった。

今までは、めちゃくちゃ清いお付き合いだったけど。

これからは違う。

今日は帰りたくないの、なんて言ったら、どういう反応を返してくるかな。

一人でニマニマしてたら、頭をはたかれた。

「茜、キモい」

「えへへっ」

照れ笑いでごまかして、恭平の腕に自分のそれを絡ませる。