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泣く、もんか。
泣いた顔なんて、見せるもんか。
泣いたら、認めることになる。
そんなの、嫌だ。
ぐいっと服の袖で涙を隠す。
「そんな理由じゃ納得できないから。今日はとりあえず帰る」
くるりと背を向け、恭平を部屋に残したまま、店から飛び出した。
追いかけてきて欲しい。
心の片隅でそう願いながら。
きっと彼が来ないことを悟っていた。
何、やってんだろ。
足を止めて、休んでいた公園のベンチ。
数時間前の自分とは大違いの惨めさに、うちひしがれる。
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