1ー1 少年は失う

2/16
前へ
/44ページ
次へ
雪が降っていた。 普段は乾いた大地に覆われたこの国では珍しい。 2年に一度、いや5年に一度の出来事だろうか…。 そんな滅多に起きない現象に国民達は喜びではなく心に影がさす。 永遠に続くかと思うほどの長い夜は終わり、ようやく陽光が差しつつあるが、分厚い雪が窓からの光の半分以上を遮り、部屋の中なのに吐く息は白かった。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加