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「ちーちゃんおはよー」
ぽん、と背中を叩かれて振り向くとにこやかに笑うクラスメイト。
「ちーちゃん言うなよ」
「可愛いじゃんかよー。俺名前見て女の子だと思ったのにいざ見たらただの男でがっかり」
「どうせ女みたいな名前だよ」
ふん、と拗ねたようにそっぽを向いてしまった千冬にクラスメイトはカラカラと笑った。
「吉垣はいいよ。男らしくてさ」
「名字はやめようぜ千冬ー。雄吾(ゆうご)っていう男らしく猛々しく雄々しい名前を呼んでおくれよ」
「うるさいな雄ちゃんは」
「雄ちゃんだと!? 男らしくねえ!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐクラスメイトに、頬杖をついたまま、航矢は一言。
「うるせえ……」
瞬間、ぴたりと止まる2人。
頬杖をついていない方の手の人差し指がとんとんと机をつついていた。
「ごめん、航矢」
「悪かったって、航矢」
2人が素直に謝ると、航矢はふん、と鼻を鳴らして窓へと視線を流した。
「航矢さあ。マジで彼女作らねーの? 勿体ねえよなー。俺だったらさあ」
「いらねえ」
「そうですか……」
「吉垣お前学ばないよな……」
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