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「よおし。それじゃあ放課後にカフェ行こ!」
「はい、お供します!」
「シオ、その敬語なんとかならないの?」
照れ臭そうに言う千那に、汐見は苦笑する。
「申し訳ありません。癖なので。幼稚園からの幼なじみにも敬語なのです」
「そっか。まあいいや。そんなシオも可愛いし!」
「千那ちゃんもとっても可愛らしいですよ。憧れちゃいます」
「くあああ!」
照れ隠しなのか、唸りながら視線を外す千那に、汐見はクスクスと笑った。
そんな汐見を、千那は悔しそうにじろりと睨む。
「むう」
「あは、機嫌直してくださいよ」
そう笑う汐見は、誰が見ても可愛らしい美少女だった。痛みに悦楽を覚える性癖を持っているなど、誰が考え付くだろうか。
「さて、教室に戻りましょう。もう授業が始まります」
「うん、そだね!」
***
「航矢ー? 起きろー。授業終わったぞー」
「ん……。まじか。すっげー寝てた」
むく、と顔を上げる。
鞄を持った千冬が航矢を見下ろしていた。
ふあ、と大きな欠伸をしながら航矢は立ち上がる。歩き出した航矢の後を千冬は微笑を浮かべながら追うのだった。
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