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「美味しかったねー!」
「そうですね!」
放課後、2人で約束した通りカフェに赴いた。お喋りをしながら楽しく過ごし、二時間程居座って、ようやく会計を済ませたのだ。
「ね、この後さ……あ、ごめん」
遮るように鳴り響いた着信音に、千那は顔をしかめる。バッグからスマートフォンを取り出すと、「あれ、バイト先だ」と少しだけ目を見開いた。
「え、あ、はい。はい。わかりました、向かいます」
通話を切ると、千那は申し訳なさそうな顔で汐見に振り返る。
きょとん、と首を傾げる汐見に、ぱちんと両手を合わせて頭を下げた。
「ごめん! 今すぐ来て欲しいって言われて。なんか、人手が足りないらしいんだ」
「大丈夫ですよ。気にしないで下さい。また明日、学校で」
言いながら軽く手を振る汐見に、千那は「本当にごめん!」と申し訳なさそうな顔をしながら走り去る。
「さて。帰りましょうかね」
一人になった汐見はゆっくりと歩き出す。
「なあ、そこのお嬢ちゃん」
「えっ」
いきなり話しかけられたと思ったら手首を掴まれた。驚いて振り向くと、柄の悪い男が3人。
こくり、と無意識に口の中の唾液を飲み込む。
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