7月20日

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あの日から3日が過ぎた。 それでも記憶が戻る気配は無い。 どうすれば記憶が戻るのか分からない。 彼女は毎日病院へ行ってるらしい。 入院しているらしい優は今だに回復しないみたいだ。 今日は彼女に付いて病院へ行って見ようと思う。 入院している優というのがどういう人物なのか確かめる為に。本当に自分なのかと。 もしくは何か記憶が戻るかもしれないと。 「それじゃ学校行ってくるね」 「いってらっしゃい」 雪が学校へ出掛けた。 彼女も何処かへ出掛ける準備を始める。おそらくはこれから病院へ向かうのだろう。 準備をしてから暫くすると、彼女は家を出た。 俺は後について行く。 我ながら情けないが、自分の体が入院している病院の場所は知らないのだ。 つまり今日初めて自分の体を見に行く。 彼女達の話が本当なら俺の体、いや、俺自身はまだ死んだわけではないみたいだから。もしかすると自分の体に戻れるかもしれない。 彼女の後に付いて暫く歩くと病院が見えて来た。 俺にはもちろん見覚えがあるわけでは無いのだが。 彼女はエレベーターに乗り込み3と書かれたボタンを押す。 どうやら俺の体が入院している病室は3階にあるようだ。 彼女はある病室に入って行った。 そこは個室になっていて、1人の男の子がベッドで横になっている。様々な機械に繋がれて。やっと命を繋ぎとめているようだ。 俺は男の子の体に自分の体を重ねてみる。もしかしたら戻れるかもしれないと思ったからだ。 だが、そう簡単にいくわけもなく。俺は男の子の体を通り抜けただけに終わった。 「優。目を開けて」 彼女は今にも泣き出しそうな顏でベッドに横たわる男の子に語りかける。 その姿を見ると、悲しく思う。そして涙が零れそうになる。 なんだこれは。なんでこんな気持ちになるんだ。 「目を開けて。話してよ」 「俺はここにいるよ」 そう答えてみたところで俺の声は彼女には届かない。 「ここにいるんだよ。俺はここにいる!」 届かないと分かっていてもこうする事しか出来ない。 他にどうする事も出来ないんだよ。伝える手段が無い。 どうすれば良いんだ。 俺は例え覚えていなくても悲しんでいる家族を見ている事しか出来ないのか…?
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