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そんな事考えてたら、井川先生がツカツカと夏兄の近くまで来て腕にさりげなくボディータッチ
「あぁ、それなら……」
夏兄はさりげなく腕を引いてボディータッチから逃れると、引き出しの中からその紙とやらを取り出した
「どうぞ」
サッと紙を差し出したが彼女は受け取らず、それどころか夏兄の肩越しから覗きこむように一緒にその紙を見ているではないか!
(ちょっと、近い、近いよ!離れてよ!!
あ、やだ!わざと夏兄の背中に胸をギュウギュウ押し当ててるし……!何なのよ
夏兄も夏兄だよ!もしかして喜んでるとか?井川先生胸おっきいもんね!)
少し離れた席からその様子を盗み見ていると、プッと隣から笑う声が聞こえて来た
ハッとして振り向くと、最近よく職員室に居着く様になった牧野先生が私を見て笑いをこらえていた
私が犬なら、今は完璧に尻尾が下がっているだろう……
夏兄と井川先生のツーショットになんだかモヤモヤとした気持ちになり、軽く落ち込んでるのが自分でもわかる
そんな私を見透かす様に牧野先生に笑われ、更にドーンと落ち込んでしまう
「…………」
牧野先生は、落ち込みすぎて言葉が出てこない私を見て、もう一度フッて柔らかく笑うと
「わかりやすすぎ……でもちょっと可愛いんだけど?」
と、私にしか聞こえないくらいの小さい声で呟いた
(……ん?ちょっと可愛いんだけど?って何が?
牧野先生って、主語がないからよくわからないよ~)
キョトンとした顔で見つめてると、牧野先生の視線が夏兄の方へ移動し、そしてニヤリと笑った
私はただそれを目で追っていると、再び私に視線が戻ってきて
「アイツが浮気したら俺が神崎先生もらうからね」
牧野先生が顔を近づけて耳元で囁くように言った
ビックリしてガタッと椅子から立ち上がった私は、周りにいた先生達の視線を一斉に浴びた
「何!?神崎先生どうかした?」
学年主任の山科先生に驚いた様な顔で尋ねられ
「いえ……何でもないです、すみません……」
そう言って頭をペコリと下げ座り直した
チラッと牧野先生を見たら、何事もなかった様に机に向かって本を読んでいた
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