第1夜 あの日あの時。

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何故、何故俺は雨の中、血を流しながら 路上で倒れてるのだろう。 何故誰も助けてはくれないのだろうか。 あぁ、小さい頃の記憶が流れてくる。あぁ、これが噂の走馬灯か。 見慣れたこの街の、見慣れたこの通りで、俺は死にゆくのかな。 あっけない最後だな。 最後に、ステーキでも食うんだったな。 最後の晩餐が、シーザーサラダて…        [半年前]             俺の名前は霧島麗央(きりしまれお)。 氏がないタダのフリーター。 まぁ、今風に言うと、ニートか? 22歳、8月15日生まれ、獅子座。 高校の時は名の売れた不良、いわゆるヤンキーだった。 一年の時に三年に殴り込み。 入学してすぐに停学。 それ以降誰も俺に喧嘩を売らない。 二年の時に、変装して大勢連れて職員室襲撃。 破廉恥教師の腕を木刀でぼき折る。 その日以来、破廉恥教師は学校を止めた。 別に助けたかったわけじゃない。 その頃、必殺仕事人のパチンコにはまっただけ。 いわゆる、世直し。 三年の時に、マンモス不良高校襲撃。 新聞に載る程の一大イベントを起こした。 間もなく卒業し、今にいたる。 親は平々凡々なサラリーマンの父と、 包丁で少し手を切っただけで、この世の終わりみたいな絶望に落ちる母、 俺と違い、優秀で医者の兄、 美人で評判の、ミスなんちゃらを穫った姉、 まだ幼い小学生の弟、 4人兄弟の6人家族。 俺は一家の恥さらしだ。
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