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大和くんと……達哉。
咄嗟に繋いでいた手を振り払って離してしまった。
「美耶?」
隣で綺羅が顔を歪めたのがわかったけれど、今は目の前にいる達哉のことが気になっちゃって。
達哉とは、涙を流したあの時が最後。
気まずいなんてものじゃない。
「……誰?」
沈黙の空間で最初に口を開いたのは達哉で。
綺羅に視線を向けながら、あたしにぶつけられた言葉。
「……関係ないでしょ?」
「この間言ってたヤツ?」
この間って。
『恋している相手』かってことだよね、きっと。
「だから達哉には関係ない」
「俺、諦めてねぇからな」
「……」
もうあたしの気持ちをかき乱さないで。
「綺羅、行こ?」
「……いいの?」
「うん」
そう言って綺羅の手を掴んで背中を向けた。
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