一日目

1/19
前へ
/35ページ
次へ

一日目

「何処だよ……此所は?」 茹だる様な蒸し暑さに目を覚ましたら、其処は見知らぬ場所、というより暗くて良く分からない。 そもそも何でこんな所に居るんだ? 不意に身体に感じる違和感。 「何だよ、これっ!?」 俺の両手両足が動かない、と言うより縛られてる? 押せども退けども抗えないそれは、拷問で捕らわれた時に漫画でよくある鎖の鉄錠で、四方から繋がれていた。 おまけに何故か素っ裸……だと? この俺が一糸纏わぬ姿で捕らわれているとは、なんという屈辱の極み。 「糞ったれがぁっ!!」 無意味に叫んでみた処で、反響して木霊するだけだった。 落ち着け俺。少し冷静になって考えてみよう。 何故こんな状態なのか? 一体誰がこんな事を? 「…………」 思い出せない……。目が覚める前の記憶が飛んでいる。 ――その時だった。 「誰だっ!!」 何やら鉄格子が開くような音が聴こえたのは。 それに続く足音。誰かが近付いてくる。 そして電球が点けられたのか、此処の全貌が露となった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加