第1章

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 僕の周りが歪んでいると、はっきり認識したのはいつ頃だろうか。  少なくとも幼少期の思い出には歪みなど一切無かった。  しかし、思い当たる――違和感を感じた時が一度だけあった気がする。  僕が能力に目覚めた、全ての始まりの日。    ▼▼  蒼い蒼い空の下、少女は立ち尽くす。 「きれい」  一言呟いて空へと手を伸ばした。  空には積乱雲が広がり、その真ん中にぽっかりと穴が開いて青色が顔を覗かせる。  雲より少し低い位置から突き抜けるように飛行機雲が飛んでいた。  リアルとして少女の目前に姿を現した風景は、今まで少女が見て来たどの絵画よりも彼女を魅了する。 「ユキネ」  後ろから名前を呼ばれて、少女はパッと振り返る。 「ユキ、こっちにいらっしゃい」  母親らしき女性が家の中から少女を呼んでいる。  ――行かなきゃ  少女の考えている事が僕の頭に流れ込む。僕が少女のような、しかし遠くから彼女を見ているような不思議な感覚。  まるで――のような。  ああ、そうだ。似ているんじゃなくて、これは『僕』の――。
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