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僕の周りが歪んでいると、はっきり認識したのはいつ頃だろうか。
少なくとも幼少期の思い出には歪みなど一切無かった。
しかし、思い当たる――違和感を感じた時が一度だけあった気がする。
僕が能力に目覚めた、全ての始まりの日。
▼▼
蒼い蒼い空の下、少女は立ち尽くす。
「きれい」
一言呟いて空へと手を伸ばした。
空には積乱雲が広がり、その真ん中にぽっかりと穴が開いて青色が顔を覗かせる。
雲より少し低い位置から突き抜けるように飛行機雲が飛んでいた。
リアルとして少女の目前に姿を現した風景は、今まで少女が見て来たどの絵画よりも彼女を魅了する。
「ユキネ」
後ろから名前を呼ばれて、少女はパッと振り返る。
「ユキ、こっちにいらっしゃい」
母親らしき女性が家の中から少女を呼んでいる。
――行かなきゃ
少女の考えている事が僕の頭に流れ込む。僕が少女のような、しかし遠くから彼女を見ているような不思議な感覚。
まるで――のような。
ああ、そうだ。似ているんじゃなくて、これは『僕』の――。
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