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* * *
「ねえ、
どうやって捜すの?
こんなに人がいっぱい居るのに。」
優子と浩二は麻美を捜してた。
麻美が実家に出した手紙の消印を調べて、
この大きな街までやって来たんだ。
「な。
人が多すぎて手当たり次第に聞くなんて、無理だな…」
駅の傍をぐるぐる回るだけで、
何も出来ない。
「電車と新幹線…
毎週なんて捜せないよ。
お金がついて行かない。」
「俺、一年間バイトの貯金あるからさ、
大丈夫だよ。
お金の心配はいらない。」
駅の人とか、駅構内の店の人とか、
浩二は麻美の写真を見せて聞いてる。
だけど、
田舎の自分たちの町の人のようにじっくり見て考えてくれない。
サア…
で、終わり。
見つからないって気がしてきた…
その辺のホテル、部屋取れるかな…
独り言?
泊まれる?って聞いた。
昨日。
『うん。
うちの家、ぜんぜんウルサくないの。
私に興味、ないんじゃない?』
私と浩二は付き合ってそう言う関係になって3ヶ月。
想いが叶って嬉しい時なはずなのに…
麻美が幸せじゃないから…
心のそこが満たされてない。
なんか、
取り残されたような気がして…
寂しさが、
こみ上げてくる。
「ちょっとホテルで作戦会議しようぜ?
部屋が取れるかわかんないし。」
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