鳥籠

2/5
前へ
/5ページ
次へ
  目が覚めて、着替えて、顔を洗う。 朝飯を軽く食べたあと、別段楽しみでもない学校に向かう。 いい加減飽きた毎日の習慣。 嫌気がさしてきたルーチンワーク。 今日もまた、そんな一日が始まる。 人生なんてそう易々と劇的に変わるものではないのだ。 原因不明の病原菌が世界規模で蔓延したりせず。 隕石が落ちてきて地球がなくなる訳でもなく。 ありふれた日常、在り来たりな毎日が、ただ繰り返されるだけ。 きっとそうだ。今日も何も変わらない。 憂鬱な気分は僕を叩き起こし。 嫌々ながら目を覚まして、そして。 僕は、絶句した。 「………………は?」 眩しい筈の太陽は、黒い空に橙を残して身を隠し始め。 殺風景な自分の部屋はなく、廃れて崩れそうな神社に。 振り返れば、欠けた鳥居の下に狐が一匹、此方を見ていた。 意味が分からない、全て理解の範疇を越えていた。  
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加