鳥籠

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  誘拐された?睡眠薬でも盛られた? いや、それよりも此処は何処だ? 色々な考えが頭に浮かぶが、しかし問題が多すぎる。 何から考えて良いのか分からない。 何を考えて良いのか分からない。 知りたい事も、何一つ分からない。 もう、何も考えたくなかった。 その時、ふと右手に違和感を感じた。 何かが自分の右手と地面の間にある感覚。 状況を理解する事を放棄して、やっと自分の感覚に意識がまわって気が付いたのだ。 手にあったのは、小さな紙きれ一枚。 筆跡を隠す為に定規で書かれた様な、まるで特徴のない文字で、その紙にはこう書かれていた。 『ようこそ、Grief Cityへ。 この街は貴方を歓迎いたします。 ただ、貴方がこの街を出る事は許容致しません。 もしも、街から出て行きたいのなら街の中央にある扉をお使い下さい。 扉には鍵が掛かっています。そして、鍵はひとつではございません。 鍵は全部で15個。 1人に1つずつ、鍵の所有権が与えられております。 貴方がもし、この街から出て行きたいのならば15の鍵を全て手に入れなければなりません。 だたし、他人から鍵を奪うだけでは、鍵を手に入れた事にはなりません。 鍵の持ち主の死亡が確認された場合、次に鍵に触れた人物が、その鍵の所有権を得る事が可能となります。 この街で健やかに過ごされるのか、 誰かの命を奪って出ていかれるのか、 どうか後悔の無い様、判断下さいませ』 ───貴方の幸運とご健闘をお祈り致しております。
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