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10 格納庫
巨大な金属のミノムシのような物が置かれている格納庫。
パイロットスーツを着た御堂が磐田と、壁の高い位置に渡された作業用通路で話し合っている。
磐田「今回が君の初出撃になるわけだが。本当に乗るのか?」
御堂「決心は、とっくに終えたわ。つまらない事きかないで」
磐田「今からでも遅くない。君が拒めば、乗らずに済むんじゃないかね?」
御堂「それで、またあいつを乗せるっての?」
磐田「たぶん、そんなに難しい事じゃないだろう。また最初の時と同じようにすればいいだけの話だ。それで皆、丸く収まる」
御堂、その言葉に救いを求めるように磐田の顔を見るが。
磐田「彼以外は、だがね」
御堂「(独り言のように)それが嫌なのよ。……私が乗るわ。これは決まっている事よ」
磐田「そうかい。なら俺は何も言わない」
床のハッチが開いて遠藤が出てくる。御堂たちに向かって手を振る。
遠藤「はーい、連れてきたよぅ!」
その後から上がってきた佐神。
佐神「あの遠藤さん、あなた何考えてる……って。ここはっ?」
機巧の格納庫だと気付いて驚いている。
磐田「おーや、王子様の登場だ」
御堂「眠り姫の間違いでしょ」
階段を上がってくる足音。遠藤が佐神を引っ張って来た。
佐神「あれ? この前、病院で会った、ような」
磐田「おう、それは覚えてるのか。……そりゃそうだな」
御堂は佐神の眼前に指を突きつける。
御堂「あんた、何しに来たわけ?」
佐神「いや、俺も何の説明も受けてないっていうか……これから出撃するんだろ? 俺がこんな所にいちゃいけないんじゃ……」
御堂は佐神では話にならないと遠藤の方を見る。
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