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――オープニング。
――暗転。ルクスのナレーション。
ルクス『それから、私は仲間と共に空に打ち棄てられたのです』
――暗転中の画面、ヒビが入るSEと同時に亀裂を生じさせ……。
ルクス『人の感情とは時にいびつで、それでも、喋ることの出来ない私をそばにおいてくれるアシュリーには感謝していました』
――色とりどり(青基調)のケーバライトが画面を段々と埋め尽くす。
ルクス『人は時にとても身勝手で、一時の感情に流されてしまうものです。ですが、人には越えてはいけない一線があります。アシュリーは親としての禁忌を犯しました』
――場転。セピア調のトーンによる回想シーン2。収容所、収容室。
――無言のまま4歳児ルクスの手を引くアシュリー。収容室の子供らの騒ぐ声が聞こえる。アシュリーの薬指には、冒頭には無かった指輪が輝く。収容室の前にいる研究員らに4歳児ルクスを引き渡すアシュリー。ルクスのナレーション。
ルクス『私は、母であるアシュリーに必要とされさえすれば、それでよかったのでした。ですがそれも終わったのです。必要ない、のでは無く、邪魔になったことを悟ったのです』
――研究員らに収容室に突き出され、宇宙服の様な物を着込まされる4歳児ルクス。ほか、無数の年齢がまばらな子供達。
ルクス『技術革新が飛躍的に成された過去でしたが、次第にその速度も落ち来み、地球の資源を人が食い尽くした頃』
――研究員ら、撤収する。群がり、出口へ殺到する子供達。それを蹴り上げ、押し込む研究員ら。
ルクス『それは実験でした。人の脳を並列化し機械として扱い演算処理を行わせ、宇宙や将来移住先として有望な惑星のデータサンプリングとして利用する。私たち子供をコンピュータとして、宇宙開拓の尖兵として扱ったのです』
ルクス『別れ際、アシュリーはまたあの時と同じ笑みを浮かべていました。ですが私にはその笑みがすべてでした。大切な母、かけがえのない人』
――場転。セピア調のトーンによる回想シーン3。発射台に宇宙船。宇宙船内のカット挿入、子供達が拘束具に収められている。発射する宇宙船。
ルクス『いつか、どこかへ行かなくては成らないのは皆、分かっていました。ですがその日は唐突にやってきた。』
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