17人が本棚に入れています
本棚に追加
最低な自分を洗い流すかのように熱いシャワーを浴びる。
頭からシャワーのお湯をかぶり、長く伸びた髪の毛を浸した。
この長い髪に、彼は何度触れてくれた事だろう。
何かある度に私の頭を撫で、いつも元気付けようと声を掛けてくれた。
シャンプーを終えコンディショナーに手を伸ばす。
いつの間にか、コンディショナーを多めに付ける癖が付いている。
きっとそれは、アヤが自分の髪に触れる事を意識していたため。
だけど彼は、もう私の髪に触れる事はない。
ボディースポンジにボディーソープを含ませ泡立てると、ソープの液体に含まれている香りが浴室中に広がった。
私の好きなローズの香り。
大好きなこの香りを纏っているこの瞬間が、今の私にとって、唯一の慰めだった。
最初のコメントを投稿しよう!