出会い

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ボクはカメ太。 名付け親はボクだ。 ボクは土に埋もれた卵から生まれた。 ボクの最初の仕事は自分を守ってくれた分厚い殻をこじ開ける事。 次いで土を掻き分け、地上に這い出る事だった。 生まれたばかりのボクが硬い殻を破り、暗闇の中地上を目指すという作業はとてつもなく困難だった。 それはまるでこれからの生涯を暗示しているかのような―― 事実、地上に這い出たボクは最初から孤独だった。 親はおろか兄弟すらも見付けられなかった。 生まれながらにして天涯孤独だったボク。 それからは生きるのに必死だった。 重い甲羅にくわえ短い手足が歩行の妨げとなり、食事をするのも一苦労だった。 それに加え周りのナカマ達からの嘲笑。 ボクは何故にこの世に生を受けたのだろう?と自問自答する日々をただ無目的に送っていくしかできなかった。
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