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毎日のように繰り返される嘲笑。
バカにするような言葉の刃の数々。
ボクは聴こえないフリをしたり、甲羅に閉じ籠ったりして受け流すしか術を知らなかった。
だけどある日、そんな言葉の刃の中に同じフレーズがある事に気付いた。
「カメのクセに!」
「のろまなカメ!」
「うすのろカメ!」
どうやらボクはカメと呼ばれてるらしい。
そうか…ボクはカメっていうのか…
その程度にしか思ってなかったけど、だんだんと周囲の様子が解ってくると“ある思い”が募ってきた。
その思いとは“名前”が欲しい――
ボクの見る限りではみんな名前という個別の名称で呼ばれているらしいって解った。
例えば同じサルでもサル彦やサル次郎といった具合だ。
にわかに湧いた思いは日に日に強くなり、遂には自分で名前を付けるまでに至る。
名前を考える日々はボクに潤いを与えてくれたんだ。
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