出会い

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カメ助はどうだろう? いやカメ次郎かな? 何人兄弟かも解らないのに次郎は変かな? だとしたらどうしようかな? やっぱり“カメ”は外せないよな?等々と色々試行錯誤する日々。 そんな日々はボクの周囲から嘲笑を消し去り――いや、実際はあったと思うけど夢中になりすぎて気にも止めなかっただけかな?――生まれて初めて楽しいと思える事ができた。 この世の中がこんなに楽しい世界だったなんて! ボクは驚きと共に、生まれた事への感謝の気持ちを初めて抱いた。 それからというもの、ボクの名前選考はより熱を帯びていった。 この素敵な世界を生きるのに相応しい名前。 本来なら両親が付けるべき名前。 …きっと両親がいたら、色々熟考して頭を悩ませるだろう名前をボク自身で付ける。 そこには希望しかなかった。 そしてボクは名前を“カメ太”に決めたんだ。
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