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奴等の出す騒音と逃げ惑う“ナカマ”達の足音。
そんな喧騒の中、僕の耳は一つの足音を感じた。
皆が皆、脱兎の如く走っていく中で不自然な程にゆっくりな足音。
不思議に思った僕はその足音の元へと駆け寄った。
「君!早く逃げないと奴等に何されるか解らないよ?」
僕の問い掛けに彼は
「ボクはこれでも一所懸命全力で走ってるんだ。でもボクの足は遅いからね…。」
次いで彼は
「ボクなら心配いらないよ。ボクには硬い甲羅があるからね。君もボクに構わず早く逃げた方がいいよ?」
「そうはいかない。僕が安全な方向へ誘導するから着いてきて!」
「そんな!君まで危険になっちゃうよ!ボクなら大丈夫だから!」
「僕には良く聞こえる長い耳があるから心配いらないよ!だから任せて!」
「……解った。お願いするよ。」
これが僕と彼の出会いだった。
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