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取り出したペンダントを専用の台に置きながら、小坂が再びニヤニヤとした。 「他のブランドを持っている、  若いデザイナーと組むっていう、  老舗のタブーに挑戦した商品。  経営戦略部に有能な課長さんがいて、  上層部を丸め込んだって噂だよ」 4つの目玉が、一斉に智樹を射抜く。 「自分で手がけたものを、  身に付けさせたいっていうのは、  一般的に独占欲って言われるね」 営業スマイルでノンに笑いかける小坂。 「さぁ、どうぞ?」 嫌味なほど爽やかな笑顔で、 ペンダントを差し出してきた。 『首を傾げたようなオープンハートが、  大人の可愛らしさをアピール。  上品な大きめのティアドロップが  グラマラスに輝いてチャーミングに』 という、能書きが付いているはずだ。 小坂の前フリはどうでもいい。 ただ、このデザインが、 ノンに似合うと思っただけだから。
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