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そんなに目一杯笑うなよ。 太陽のような眩しさで、 俺の目をくらまさないで。 「トモちゃん、大好きっ」 道端で抱きつく彼女に戸惑いつつも、 智樹は満たされた気分で抱擁を返した。 「可愛いな、ノンは」 そろそろ、気付いているだろうか。 「可愛い」は、 「愛してる」の代わりだと―― 「じゃ、昼飯探すぞ」 ミッドタウンへ向かい、 ノンが好きそうな洋食店に入る。 アート作品の多い建物だ。 食事の後もあちこち歩き、 満喫したらしい。 「楽しいね!」 その笑顔が見られるなら、 どんどん甘やかしたくなる智樹は、 やっぱりダメ飼い主だ。
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