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「脳に、悪性の腫瘍が見られます。」
既に全身に転移しており、手の施しようがありません。
眩暈が増え、体調が思わしくなかった。
そろそろ仕事にも影響が出ると思って、マネージャーに外来まで行かされた。
ただの体調不良だと思いたかったけれど、お医者さんの口から出て来た言葉は体調不良じゃ片付けられないほどの、大きな病気だった。
「死ぬって、事ですか?」
「覚悟しておいて頂いた方がいいでしょう。」
「どれくらい、ですか?僕の余命。」
「長くて1ヶ月、短ければ、1週間です。」
こんなに早く、死ぬとは思わなかった。
こんなに早く、メンバーや家族と別れるとは思わなかった。
だけど、何故だか冷静でいられた。
死ぬということに、抵抗が無かった。
「入院されますか?」
「いや、いいです。延命も、しないで下さい。死にかけたらそのままでお願いします。」
延命なんて、して欲しくない。
心臓が止まったら、そのまま逝かせて欲しい。
そう伝えると、お医者さんは分かりました、と力強く頷いてくれた。
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