黒という傭兵

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どの得物も似たようなもんだが…槍ってのは突くにしろ薙ぐにしろ、全身を使って動かす。その動きの基礎を支えるのは足だ だからある程度仕留めたら足場を変えるのが戦いのセオリーだが…あのアンポンタンは一向に足場を変えず、尚且つご丁寧に相手を煽ってやがる 「向こうもまだまだ数が減ってない、足を取られて倒れるのも時間の問題だろうよ」 「…………………」 「あ………ああ………」 理解が追い付いて明確に死が想像できたのだろう、真っ青になって震えだした二人を尻目に新しいタバコを取り出して火を点ける 「正義感が強いのは結構だがね、実力差も考えず飛び出したアレの自己責任さ」 「へ…………へへへへ黒どのっ!」 「断る。ありゃ自業自得だ」 別にコートは後で回収すればいい。死にたい奴は死なせてやった方が幸せだしな 「お兄さん」 「なんだ………ん?」 程立が震えながら何かを差し出す……これは、麻の袋か 「お兄さんは傭兵なのですよね? なら風はお兄さんに依頼します。これがお金です」 「ほう…?」
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