黒という傭兵

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「ここに風達の全財産が入っているのです……… これで……これで星ちゃんを助けてください……!」 「………」 袋を開けて中身を出す。 硬貨が数十枚……こちらの物価が分からないから明確には言えんが旅の途中で必要な物資の補充をするには少なすぎる量だ 「人の命がこんなに安いとでも?」 「足りるとは思ってないのです………足りないなら風自身を差し出します」 「風っ!?」 「…………………」 「星ちゃんは風の大事な仲間なのです………だから、星ちゃんを…………!」 「………私も、足りないのならば私も自らを差し出しますっ!」 「……………」 「星も……風も私の大事な仲間で、友人です!その命を助ける為なら…!」 「二人共々犠牲になっても構わない、と?」 冷たい瞳で目の前の少女二人を射抜くが二人の表情は変わらない。震えてはいるが決意を湛えた目だ 互いに怖さを紛らわすように手を握り合い、ただ真っ直ぐに俺を見つめている (やれやれ…) 呆れた奴等だ、あんなバカの為に人生捨てようなんて正気の沙汰じゃない だが―――― 「その覚悟、気に入った」 その覚悟が見たかった
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