黒という傭兵

16/20
前へ
/59ページ
次へ
─Side 白夜 胸クソ悪い。 正直な感想はそれだけだった。 勝者は敗者に何をしても許される、それが戦場の暗黙の掟だからだ。負ければ全て奪われる そんな覚悟も無いのに戦場で槍を振るった趙雲に苛立ちが沸き上がり続ける。仕事でなければズタズタに引き裂いてやりたい所だ しかし、それ以前に──── 「おい」 「っ…誰だてめ───」 「邪魔だ」 俺の声に振り向いた男の首筋にハイキックを叩き込む 男はまるで川辺に転がる石のように宙を舞い、吹き飛ぶ方向にいた他の奴等を巻き込みながらその先にあった民家へと突っ込む 「無様だな」 蹴られた男に組み伏せられていた趙雲を一瞥し、乱暴に剥かれた愛用のコートを確認する 「…………」 留めていたボタンが無惨になくなっているコートを見つめながら軽く指を鳴らす 長年の相棒に傷を付けた罪は重いって事だ
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加