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「ギャー!!!!!!!」
グァンス君に勢いよくしがみつく。
「うわ。咲さん、落ち着いて。」
グァンス君がバランスを崩して倒れこむ。
私もその上に思いっきり倒れこんでしまう。
「ゴメン。」
パッ!明かりがつく。
目の前にはグァンス君の顔!
キスできそうなくらい近い!
うわっ!
咲は慌てて起き上がった拍子に後ろの壁に頭をぶつける。
「いたた~。」
そのとき、エレベーターが再び動き出す。
「え?!」
ふたりで顔を見合わせて笑い合う。
「咲さん、どんだけ石頭なんだよ」
「は、恥ずかしい。。でも、違うよ!私の頭がぶつかったせいで動き出したわけじゃないと思う!何かシステムエラーを誰か直したんだよ!」
話してるうちにエレベーターの扉が開く。
「咲さんには借りができちゃったな!」
グァンス君が笑いながらエレベーターを下りていく。
慌てて咲はそのあとを追う。
「か、借りなんてないから」
「何か飯でもおごるよ」
「おごられる理由ないから!」
「命の恩人じゃん」
「断じてちがう!」
なぜだろう、怖い思いをしたのに、私たちは楽しくて笑い合ってた。
「咲さん。」
ふいにグァンス君がまじめな顔をした。
「うん?」
「咲さん、俺、咲さんのこと守れたかな?」
グァンス君の目が揺れる。
私を怒鳴ったくせに。
なんだか泣けてきちゃった。
彼も不安だったのだ。
けど、全力で守ってくれた。
「もちろんだよ。ありがとう。一緒にいてくれて。」
自然と私はグァンス君の手をにぎってた。
グァンス君ははじけるように笑って、手をにぎりかえした。
そっか。ふたりだったからだ。
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