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「さて、もう行こうかな」
彼女は俺より賢い。
だから、おれは彼女と同じ学校を目指しても、無謀、なんて一言で片付けられて。
しまいにはこんな高校生活を送る羽目になってしまった。
彼女は立ち上がり、鞄を肩にかけると髪をなびかせて手を振った。
同級生とは思えない、知性、気品、優しさがある村井さん。
将来は作家兼医者らしい。
二兎追うものは一兎も得ず、なんて言うけど、彼女はその夢を一網打尽にする力があると思う、いやほんとに。
「おれって、つまんね」
彼女の後姿を見送る。
村井さんは楽しい高校生活を送っているのだろう。そう思うと自分がより惨めに思える。
おれは、おれみたいに彼女に負担をかける輩がいないことを切に願った。
もう、帰ろう。
おれはゆっくりベンチから重い腰を上げた。
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