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「もう飽きた」
ゲームのBGMがエンドレスで流れ続ける。
目を瞑る。
おれは何が楽しくて生きてんだ?
携帯電話に手を伸ばす。
知ってるメールアドレスは、母ちゃん、父ちゃん、じいちゃん、ばあちゃん……。
そして、
「村井萌子……」
おれはメールを打つことにした。なんていうか、その、あれだ。
「さて、なんて打とう……」
『今日は話せてよかった。
またよろしく頼みます!』
違う! はい、削除!!
『今日は久しぶりに会えてよかった!
寂しかったんだ、また話を聞いてください!』
くっ、違う! 削除!!
『懐かしくてメールしちゃいました-!
今度は遊ぼうよ!』
女の子を誘うなんて、おれにはできない。なんせ、目を見てまともに話すこともできないのだから。
彼女と遊ぶなんて、それはもう、自分の鼻にキスするくらい不可能なことなのだ。
コントローラー同様に放り投げる。
隅っこに追いやられた昔好きだったアニメのキャラクターのぬいぐるみに当たり軟着陸した。
無様だ。
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