天使の甘言

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「おっほ、3000円ちょうど! 毎度アリ! 次も頼むぜ!」 「それっぽっちかよー」 「ばーか、物事には……」 バカ笑いが放課後の西日の差す廊下に響く。 くそ、死ね! 木村、喉に夕飯の魚の骨刺さってあわてふためきもがき苦しんで死ね! 四ッ谷! オカピになってライオンに食われろ、それか野垂れ死ね! ピアス! 名前忘れた! ごめん! ため息が体の強ばりをほぐす。 限界だ。おれ、限界だよ。 ここは三階飛び降りれば死ねるだろうか? 咲きかけの紫陽花が中庭で揺れている。この高さは、怖すぎる。だって、ジェットコースターにも乗れないもん、おれ。 ベンチでは美男美女のカップルがこれでもかとイチャついている。 白昼堂々と華々しい青春を謳歌してやがる奴らが恨めしい。 不意の涙で制服の袖を濡らすおれ。 「ちくしょう」 胸に沸き立つジェラシーとやらが、おれの心を蝕み、巣喰う。 下手くそな吹奏楽部の演奏にうんざりしながら、おれは帰路に着いた。 下を向いて歩こう。上見て歩いたとこで、女の子が降ってくるわけでもない。 下を見てたらお金落ちてるかもしんないし。 別に猫ババする気はないけど。
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