天使の甘言

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 おれは今後悔している。電車通学に対して、だ。  人嫌いなおれにとってはホント不覚だった。毎朝の通学でパーソナルスペースを侵害されるのだ。鼻息の届く距離のなんと不快な。 そんなだから、痴漢は無くならない。冤罪も起こりうる。  話はごろりと変わるが、おれの鍛え上げた妄想力は他を凌ぐ程だろう。  中学生の頃はボーイミーツガール的なシチュエーションを模索していた。  女の子とお近づきに、仲良くなりたいという、そんな不純な動機から生まれ出た妄想ばかりしていた。  それと黄昏る不思議な男子高校生。なんかのアニメの影響か? おれは少し憧れて電車通学を希望した。    今となっては中二病というやつだ。かっこよくもない、むしろ痛い。精神的苦痛が伴うのだ。  その魅力に引かれてほしい。そして、おれをこの薄汚れた世界を少しは好きにさせて。 そんな当時の、自己主張の結果が今なのかもしれない。
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