3人が本棚に入れています
本棚に追加
「大地くんってさぁ…」
「ん~?」
シャッターをきる手を止め、こっちを見る大地くん。
「漫画やってるって言ってたけど、油絵…も、やってるの?」
「あ~まぁね。ちょっとだけ。センスないからあんまやんないけどな!」
ガタッ!
その言葉を聞き、ソファから転げ落ちる。起き上がり全速力で大地くんに駆け寄った。
「そんなことない!!!!!僕…僕は……!あんな絵が描きたいんだ…っ!」
「…洋、平?」
「頭の中でイメージは沸くんだけど、いざ描いてみるとなると、思い通りにいかなくて…ずっと、苦しくて…」
話しているうちに目頭がじーんと熱くなる。
やだ、友達の前で泣くなんて。かっこ悪いし、せっかく出来た友達に嫌われたくない。引かれたくない。
泣くな、泣くな、泣くな…
「……そっか、洋平。頑張ったな。」
「だ…いちくん…」
大地くんは僕の頭に手を回し、抱きしめてくれた。
「油絵は好きだよ。でも、俺には漫画なんだ。ときには、上手くかけなくて、イライラして、泣きたくなったりする。」
「…大地くんでも…?」
「うん。けど、洋平がいるから、これからは平気。絶対平気。頑張ろうって思えた。だから、洋平も、俺のこと…信じて、頼って?」
「…。」
僕は
返事の代わりに、ぎゅっ、と抱きしめ返した。
最初のコメントを投稿しよう!