はじめての

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「大地くんってさぁ…」 「ん~?」 シャッターをきる手を止め、こっちを見る大地くん。 「漫画やってるって言ってたけど、油絵…も、やってるの?」 「あ~まぁね。ちょっとだけ。センスないからあんまやんないけどな!」 ガタッ! その言葉を聞き、ソファから転げ落ちる。起き上がり全速力で大地くんに駆け寄った。 「そんなことない!!!!!僕…僕は……!あんな絵が描きたいんだ…っ!」 「…洋、平?」 「頭の中でイメージは沸くんだけど、いざ描いてみるとなると、思い通りにいかなくて…ずっと、苦しくて…」 話しているうちに目頭がじーんと熱くなる。 やだ、友達の前で泣くなんて。かっこ悪いし、せっかく出来た友達に嫌われたくない。引かれたくない。 泣くな、泣くな、泣くな… 「……そっか、洋平。頑張ったな。」 「だ…いちくん…」 大地くんは僕の頭に手を回し、抱きしめてくれた。 「油絵は好きだよ。でも、俺には漫画なんだ。ときには、上手くかけなくて、イライラして、泣きたくなったりする。」 「…大地くんでも…?」 「うん。けど、洋平がいるから、これからは平気。絶対平気。頑張ろうって思えた。だから、洋平も、俺のこと…信じて、頼って?」 「…。」 僕は 返事の代わりに、ぎゅっ、と抱きしめ返した。
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